16 October 2024

その場でしか得られない感動を届ける、江藤 昇のライブ演出

会場を盛り上げ、アーティストの魅力を引き出すライブ演出。flapper3では、各ライブのコンセプトや楽曲に沿った演出企画・映像制作を手掛け、人々の心に響くライブ体験を創出しています。ここではディレクターの江藤昇が、印象に残っている案件を振り返りながら、ライブ演出・ステージ映像制作にかける思いを語ります。

YOASOBI -Coachella 2024-

「現場で見て一番いいもの」を追求し、観客を魅了する

―まずは、江藤さんが普段担当している業務について教えてください。

ライブはもちろん、プロジェクションマッピングや企業PVなど、幅広いジャンルの映像演出を手掛けています。

ライブ演出に関しては、舞台監督や演出家、照明など、ステージに関わるスタッフと相談を重ねながら、映像制作、演出ディレクションを行っています。ライブの立ち上げから入る案件もありますが、ライブのコンセプトやセットリストが決まっている案件に対し、flapper3から「こういう演出はどうですか」と提案することが多いです。

YOASOBI ZEPP TOUR 2024 “POP OUT”
YOASOBI ZEPP TOUR 2024 “POP OUT”
YOASOBI ZEPP TOUR 2024 “POP OUT”
YOASOBI ZEPP TOUR 2024 “POP OUT”

―ライブ演出を行う上で心掛けていることはありますか?

「会場でライブを見た人たちが感動するもの」を届けることですね。そのためにも、「現場で見たときに一番いいもの」を想像しながら演出にあたっています。たとえばステージ映像は、パソコンの画面上では綺麗に見えても、会場で見るとあまり目立たないなんてことも多いんです。さらに観客が入ったり、照明が加わったりするとまた見え方は変わってきます。

「会場でどう見えるか」を想像するのは難しいのですが、そこはこれまで担当してきた案件や、自分が足を運んだライブで得た知見と経験が活きていると思います。現場をよく知っているからこそ、ライブでしか得られない感動を会場にいる人たちに届けることができるのだと思います。

YOASOBI「NICE TO MEET YOU」

ステージの特性を活かして作り上げた、一体感のあるライブ空間

―数々のライブ演出を手掛けてきた江藤さんが、一番印象に残っている案件を教えてください。

ステージ映像制作を担当した、YOASOBI初となるアリーナツアー『YOASOBI ARENA TOUR 2023 "電光石火"』は心に残る案件でした。特徴は、天井から吊り下げられた2枚のLEDモニターです。このLEDが上下に移動したり傾いたりしながらステージを作り上げる、これまでにない特殊な舞台装置でしたね。

LEDの配置によっては観客から映像が見えにくくなってしまうので、文字や具体的に認識できる画を入れ込まず、抽象表現をメインに映像を構成。「画」を見せるというよりも、アーティストを照らす電飾のような役割でLEDを活用しました。

特殊なステージなだけあって、現場での見え方を想像するのは難しかったのですが、本番直前まで現場検証を行いながら調整していたのを覚えています。

YOASOBI ARENA TOUR 2023 “電光石火”

アンコールで披露されたアニメ「推しの子」の主題歌、「アイドル」のステージ映像は、楽曲の持つ激しさと会場の盛り上がりを、そのまま映像でも表現したいと考え制作しました。作品を連想させる光が弾けるアニメーションや、登場キャラクターのイメージカラーであるブルーとピンクをふんだんに取り入れるなど、「推しの子」らしさも表現しています。照明も同じように、ブルーとピンクでステージを照らす瞬間があるなど、一体感のあるライブ演出ができたと実感しています。

ライブ映像制作で忘れてはいけないのは、なによりステージ全体の見え方です。映像だけかっこよくても、ほかの演出やアーティストを邪魔していたら全く意味がありません。レーザー演出や照明、アーティストの動きなど、ステージを構成するすべての要素を統合して一番よい空間になるよう、常に意識して制作に取り組んでいます。

YOASOBI 夏フェス2022

アーティストが持つ世界観や魅力を最大限に引き出す
音楽への深いアプローチ

―江藤さんが考える、ライブ演出におけるflapper3の強みとは?

「音に対する解像度の高さ」が、なによりの強みだと思います。弊社のメンバーは音楽好きが多く、現役のVJ(ビジュアルジョッキー・ビデオジョッキー)も多数在籍しています。
各々好きな音楽ジャンルは違うのですが、それだけに多様な音楽へのアプローチが可能です。

共通しているのは、ひとつの音楽を深くまで掘り下げ、それに適した映像や演出手法を考えている点ですね。私が考えつかないような音の読み取り方をする人も多いので、制作現場でも刺激を受けています。そうしたメンバーが揃っているからこそ、アーティストの世界観や音楽を存分に活かせるライブ演出、映像制作ができるのだと感じています。


―最後に、今後挑戦したいことがあれば教えてください。

「サービス映像」や「画出し」と呼ばれる映像にも、エフェクティブな演出提案をしていけたらいいなと考えています。「サービス映像」とは、アーティストやバンドの様子を撮影し、ステージ上のモニターにリアルタイムで投影される映像のこと。昨今、そのサービス映像自体に特殊な演出を組み込みたい、加工を施したいというご相談が増えています。

実際に最近では、カメラ映像をモノクロにしたり、ざらっとしたテクスチャーを乗せて投影したりしている様子も見受けられます。ただ、現状こうしたエフェクトは映像送出側で行っているので、映像出力会社との連携が必要不可欠。演出側から直接アプローチできることには限りがあるんですよね。

機材の準備やシステム面でのハードルは高いかもしれませんが、flapper3 にはTech Teamというシステムやソフトウェア開発に強いメンバーも在籍しています。テクノロジーの力を駆使して、サービス映像にも自由な演出効果を提案することができれば、よりよいライブ演出につながるのではないかと期待しています。

MEMBER

INTERNAL

  • CHIEF DIRECTOR

    NOBORU ETO

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