BOOM BOOM SATELLITES『FRONT CHAPTER – THE FINAL SESSION – LAY YOUR HANDS ON ME SPECIAL LIVE』

OVERVIEW

2017年に行われた、ロックバンド「BOOM BOOM SATELLITES」のラストライブ『FRONT CHAPTER - THE FINAL SESSION - LAY YOUR HANDS ON ME SPECIAL LIVE』。flapper3は映像演出チームの一員として、当日のセットリストのうち6曲のライブ映像の企画提案から演出・制作・ディレクションまで一貫して担当しました。

IMAGES

ステージにいないボーカリストの存在を、映像で補完する

「BOOM BOOM SATELLITES」は、ボーカル・ギターの川島道行氏とベース・プログラミングの中野雅之氏によるユニットです。2016年に川島氏が闘病の末に逝去したことから、本ライブは企画されました。

ボーカリストが不在のなか、BOOM BOOM SATELLITESとして最後のステージをどのように成立させるのか。アーティストにとてもファンにとっても、特別な意味をもつこのライブ。flapper3に求められたのは、「川島氏のフィジカルやスピリチュアルな部分を、映像で補完すること」でした。

スピリチュアルな世界観をファンと共有するためのストーリー

映像の核には、スピリチュアルな存在を象徴する「宇宙」「光」を軸とした抽象的なイメージを考えました。また、世界観を会場にいるファンと共有するためには、ライブを通じてのストーリーが重要になります。スピリチュアルな存在がステージに舞い降り、姿を現し、やがてまたスピリチュアルな存在に戻っていく。こういった展開を想定し、各曲の演出プランを組み立てました。

映像はステージ後方のLEDスクリーンのほか、楽曲によってはステージ前に紗幕を下ろし、プロジェクターで投影しています。オープニングでは幻想的な世界観を印象づけるために前方のスクリーンを下ろし、スクリーン越しからおぼろげに見えるバンドのシルエットと、現実とはレイヤーの違う映像を重ね合わせました。

センターマイクの位置には、川島氏を連想させる動きのあるシルエットを投影。また、ステージ空間に言霊のように浮遊する手書きの歌詞、点滅する光の演出も加えました。

起伏のある展開で、ライブならではの高揚感を演出

この後、ステージ前の幕が上がり、幻想的なイメージに加えて、バンドの姿をダイレクトに見せるパートへと移っていきます。これに合わせ、ライブ映像も抽象表現から現実的な表現へと変化させました。

初盤では、生前の川島氏の映像と会場のリアルタイムのカメラ映像をコラージュした映像表現を提案しました。flapper3では、当日の映像を当て込むことを想定し、空白を残した映像を準備。当日はその映像をもとに、照明・撮影のスタッフの協力を得ながらリアルタイムで合成しています。会場内を飛び交う照明やオーディエンスの姿も映し出し、ライブならではの臨場感や高揚感を演出しました。

また、中盤からはエンディングに向けて、再びスピリチュアルなイメージへとつなぐ演出を考えました。日常の中にある都会の夜景から始まり、その視点を地上から上空へと徐々移し、空撮の映像へと展開。浮遊する言霊や光による演出も加えました。

本編の最後の曲は、「宇宙に存在する大きなエネルギー体」をコンセプトにしています。ステージ前面に再びスクリーンを下ろし、太陽が放つ光をイメージしたビジュアルを投影。実在しないボーカリストの存在を具現化し、ファンの心に深く刻まれる映像を目指して制作しました。

CREDIT

CLIENT

  • 株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント

AGENCY / PRODUCTION

  • flapper3 Inc.

INTERNAL

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