19 July 2023

島田檸檬が考える、アーティストの魅力を引き出す実写映像とは

flapper3では、モーショングラフィックスを取り入れた映像だけでなく、ミュージックビデオやステージ映像、イベント会場で流れるPVなど、幅広いジャンルの実写映像制作にも力を入れています。企画立案はもちろん、自社撮影機器を用いた撮影、編集までワンストップで制作可能です。

今回は、ディレクターの島田檸檬が、これまで手掛けてきた音楽系実写映像コンテンツの撮影の裏話や、映像制作におけるこだわりなどを語ります。

大切なのは、現場での的確な“判断力”
flapper3の島田が考える、撮影ディレクションの極意

―まずは、島田さんが担当している仕事について教えてください。

私は、主にミュージックビデオ制作や、ライブ収録を担当しています。撮影だけを担当することもありますが、基本ディレクターとして企画の段階から携わることが多いです。

例えばミュージックビデオの制作だと、まず曲を聞いて映像のイメージを固めることから始めます。イメージが固まってきたら、企画書にまとめてお客様に提案。最終的な仕上がりイメージをすり合わせながら、撮影に向けて絵コンテの準備や、どういう場所でどんな構図で撮影するかといった、具体的な撮影プランを練っていきます。

撮影当日は、監督として現場を取りまとめていきます。カメラマンや照明、音響オペレーターなど、現場にいる全員にイメージを共有し、一緒に一つの作品を作り上げていく感覚は、実写映像制作ならではの面白さでもありますね。

撮影後は動画の編集作業を行います。一般的に、エディターと呼ばれる編集者に動画編集を任せることもあるようですが、私は基本的に編集まで自分で行うようにしています。企画の段階から完成に至るまで、責任をもって制作にあたっています。

歌詞を紐解き、イメージを醸成
アーティストの音楽性を表現する、ミュージックビデオづくり

―撮影現場を統括する上で、心掛けていることはありますか?

「迷い」を見せないことですね。事前に仕上がりのイメージを現場のスタッフ全員に共有するのですが、撮影をしていくうちに、よりよい構成や撮影手法に行きつくことも多々あります。そうした場合に、あいまいな判断で現場を混乱させないよう「これでいこう!」と、しっかり最終的な判断を下すことが、監督の仕事で一番大切なことだと考えています。

―これまで携わってきたミュージックビデオの案件について、教えてください。

私は、アイドルの案件を担当することが多いです。

でんぱ組.incの「衝動的S/K/S/D」という楽曲のミュージックビデオでは、ディレクターとして制作を担当しました。実写映像をベースに、「放電」や「静電気」など、歌詞にあるはじけるようなイメージエフェクトを入れ込んでいます。

このミュージックビデオはCGやアニメーションを使っていないため、2週間ほどで仕上げました。比較的スピーディーに制作することができるのも、実写映像の特徴です。

アイドルグループNegiccoのメンバー、Kaedeのソロシングル「Youth」では、撮影と動画編集を担当しました。監督は、ジャケットのデザインを担当したアートディレクターが担当。彼が考えたドラマ仕立てのストーリーを基に、撮影手法を決定したり、どのようなカットで撮影するか提案したりと、撮影のプロとして撮影現場の円滑な進行もサポートしました。撮影機材は、flapper3が所有するシネマカメラを使用しています。

―ミュージックビデオの制作において、映像のイメージを固めていく上で意識していることはありますか?

曲を作ったアーティストの想いに寄り添うことを大切にしています。自分でつくった曲なら自由に表現していいのかもしれませんが、作り手がいる場合は、演出が自分の主観だけにならないよう意識しています。

そのためにも、まずは歌詞を紐解くことから始めています。歌詞で使われているワードを羅列し、そこから連想できる撮影場所や全体の色味、無機的か有機的かなど、イメージを絞っていきます。その後にもう一度イメージを広げてみると、数回曲を聞いただけでは見えてこなかった新たな要素を発見できたりするんです。歌詞を紐解きながらその曲がどういう思いで作られたのか、何を伝えたいのかを自分なりに解釈し、そこに自分の表現を加えていく感じで、仕上がりのイメージを固めています。

さらに撮影前までに曲を何百回も聞きこんで、自分の頭の中でイメージできない瞬間があれば、一から考えなおすことも多いです。それだけしっかりとしたイメージを持っていないと現場での「迷い」につながってしまいますので、撮影前の準備は念入りに行っています。

―ミュージックビデオ以外の案件についても教えていただけますか。

ライブ収録はもちろん、ライブ全体のトータルプロデュースも行っています。

ライブをトータルでプロデュースする際は、当日の撮影だけでなく、ライブのオープニング映像や、背後に流れる映像も制作しています。

ライブの撮影では、事前に「この曲ではアーティストが決めポーズをするからそこを狙おう」「ロック調のこの曲ではカメラを回転させて撮影しよう」など、大枠のイメージを固めているのですが、観客の反応にあわせてカメラワークを考える必要もあるんです。咄嗟の判断が重要になるので、緊張感はありますね。ですが、リアルタイムに見ている人のリアクションが返って来るのはライブならではの面白いところだと感じています。

―最後に、今後注力したいことを教えてください。

ショートフィルムを制作したいと思っています。ストーリーのテーマを頂いて、機会があれば脚本づくりから挑戦してみたいですね。4K撮影に対応したカメラやドローンなど、多数の撮影機材を所有しているので、色々な撮影技法にチャレンジしつつ、30分ほどのショートフィルムをつくってみたいと考えています。

また、私は実写映像で完結する作品をメインに手掛けているので、モーショングラフィックスやCGに実写映像を組み合わせた映像表現にも、もっと注力できればと思います。最近弊社では、実写映像にヴァーチャル映像を組み合わせたARライブという、新しいライブの形にも挑戦しています。実写プラスアルファの表現を提案できるのはflapper3の強みでもあるので、積極的に取り入れていきたいですね。

MEMBER

INTERNAL

  • DIRECTOR

    LEMON SHIMADA

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